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とに存してゐる。

 「乙」とはこの同じ三角形を底面とし、下品を頂點とする四面體のうちに位置を占めてゐるものであらう。

 「きざ」は派手と下品とを結付ける直線上に位してゐる。

 「いろつぽさ」卽ち coquet は、上面の正方形內に成立するものであるが、底面上に射影を投ずることがある。上面の正方形に於ては、甘味と意氣とを結付けてゐる直線に平行してPを通る直線が正方形の二邊と交はる二點がある。この二つの交點と甘味と意氣とのつくる矩形全體がいろつぽさである。底面上に射影を投ずる場合には、派手と下品とを結付ける直線に平行してOを通る直線が正方形の二邊と交はる二つの交點と、派手と、