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 先づ內包的見地にあつて、「いき」の第一の徵表は異性に對する「媚態」である。異性との關係が「いき」の原本的存在を形成してゐることは、「いきごと」が「いろごと」を意味するのでもわかる。「いきな話」といへば異性との交涉に關する話を意味してゐる。なほ「いきな話」とか「いきな事」とかいふうちにはその異性との交涉が尋常の交涉でないことを含んでゐる。近松秋江の「意氣なこと」という短篇小說は「女を圍ふ」ことに關してゐる。さうして異性間の尋常ならざる交涉は媚態の皆無を前提としては成立を想像することが出來ない。卽ち「いきな事」の必然的制約は何等かの意味の媚態である。然らば媚態とは何であるか。媚態とは、一元的の自己が自己に對して異性を措定し、自己と異性