このページは校正済みです
に。氣色ばかりをしまきなどしつゝ。もてありきゆきちがふもいとおかし。すそご。むらご。まきぞめなども。つねにみるはしもおぼえねど。そのころはいとおかしうぞみなさるゝ。わらはのかしらばかりあらひたてつゝ。なりはなえほころびがちにうちみだれて。けいしにおすけさせなどてことにもてさはぎ。いつしかとその日を心もとなげにまちたる氣色どもにて。いそきたるもいとおかし。つねはあやしくはしりおどり。さまよからぬ物どもと見るに。さうぞくしたてつれば。をの〳〵いみじうもてなしつゝ。しづめてさうなどいふほうしのやうに。ねりさまよふこそおかしけれ。ほど〳〵につけては。おやをばの女。あねなどいふ物も。その日はみなとも人になりて。つくろひかしづきありくいとあはれにおかし。よろづよりもわびしげなる車にさうぞくわろくてものみる人。いと〳〵もどかし。物まうでせ經きくなどは。いかゞはせむ。つみうしなふことなれぱ。それだになをいとあながちなるさまなるはみぐるし。まして行幸かものまつりなどは。いみじうゆかしと念じてみてありぬべし。したすだれもなくてなへたるひとへぎぬのそでうちたれなどしたるもありかし。なにごともたゞその日のれうと思ひしたてゝ。いと無下にはあらじとおもひていでたるだに。又まさるくるまなど見つけては。なにしにいでつらんとおぼゆる物。ましていかば