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て。やをらまろびよりて。きぬをひききるほどこそむとくなれ。人はたけくおぼゆらむかし。そらねしてしらぬがほなるさまよ。
はしたなき物。こと人をよぶにわれがとてさしいでたる。まして物など御らんずるおりは。をのづから人のうへなどうちいひそしりなどもしたるに。おさなきこどものきゝとりて。この人のあるまへにあぶなくいひいでたる。あはれなる事など人のいひてうちなくに。げにあはれとはいひながら。淚のいでこぬいとはしたなし。まめだちてなきがほつくりて。氣色ことになせど。いでこぬなみだをばいかゞはせむとする。さるはさやうなるにも。きくかひありてうちあへしらふ人こそものゝあはれしりたる心ばへとはみゆれ。またさしも人めにみえじとつゝむ事に。思ひもあへずたゞいできにいでくるもはしたなしかし。
あはれなる物。おやのためにけうある人のこ。わかきおとこのみたけさうじする。さだまりたる人ぐしたるも。又さらでうちしのびたるおもふひとあるも。あはぬよな〳〵へだつるは。くるしき物にこそ思ふべかめるを。ことのほかにきびしうへだてなして。ひとりいでゐてうちをこなひたる。あか月のぬかのほどなむいみじうあはれな