らねしてきゝいれぬを。わがもとなる人のよりて。せめておこしつゝ。いぎたなしと思ひがほにをしゆるがしなどしたるいとにくし。いままいりのさしすぎてをしへやうなる事いひ。まだしきにうしろみたるにくし。人もよびいでぬにともすればさしいでて。人のすることをも見あつかひ。わがもとありし所の事。ためしにひきいでて。とこそありしかかくこそなどいふを。そめものはり物につけても。げにさこそすべかりけれときゝならはるゝこともありかし。されどなをさらぬにはをとりたり。これはものせし所にありときゝし人ぞときゝおきたるには。さしもさいまぐれねど。人みないかゞなどとひつるものなり。おとこもわがまへにて。むかし見し人のうへいひいでてほめきかせなどするは。ほどへにたることゝおもへどいとにくし。ましてさしあたりたらんは。いふべきにあらずかし。なか〳〵それはさしもあらずやあらん。はなひて手づからずもんしいのる人いとにくし。おほかた人のしうならぬ人のはなたかくひるはいとにくき事也。ことなる事なしと思ふおとこのひきいり聲しみんだちたる。すみながるゝすゞり。女の物ゆかしうする。のみもいとにくし。衣のしたにおどりありきて。人をもたぐるやうにするよ。いぬのもろ聲になが〳〵となきあげたるいとまが〳〵しうにくし。なにゝまれものみる所に。たゞひとりくるまにのりてたてるおとこいとにくし。いかばかり心せばくけにくきならむとこそをしはからるれ。あとかのひばしいとにくし,ふるき歌のはし〴〵こゝかしこうちずして。はてにかならずともしすゑたる人。いみじうにくし。
心ときめきする物。すゞめのこがひ。