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年九月の官符に恠異の事は聖人語らず。妖言の罪は法制かろきにあらず。神宣はいちじるく其しるしあらはれたることにあらずは。國司言上すべからざるよしさだめられ侍り。是は御こかんなぎなどのするわざなるによて也。次に神社修理の事退轉有べからず。太神宮は諸國の役夫工米をもて廿一年にかならず造替遷宮の事あり。其外諸社の造營は。ねぎ神主等。小破の時修理をいたすべし。万一大風若は炎上など有て大營に及ばゝ。その由を注進せしめば。先例にまかせてさた有べし。弘仁三年の官符には有封の社の神戶の百姓をもて無封の社の修理をいたすべきよしみえたり。有封無封といふは。神領のあるとなきとをいふ也。近代は諸國の祭事衰微せるによりて。有封の社の造營猶もてなりがたかるべし。いはんや無封の神社においてをや。抑この十餘年は天下のみだれによりて。神社の荒廢たぐひなく。祭祀の陵遲法に過たり。國のまさにおこらんとする時は。神明くだりて其德をかゞむ。國のまさにほろびんとする時も。神又くだりて其惡をみるといへり。神いかり民そむかば。何をもてかよく久しからむともいへり。かるがゆへに國司守護などは別に私のいのりなどをしては益なきこと也。かぎり有國役などを嚴密に成敗して。昔より有つけたる神社の修理。祭祀の退轉せるを申をこなひ侍らば。君には奉公の忠となり。神には歸敬の誠をあらはすべし。おほやけわたくし淸淨の心ざしをさきとして。如在の祀をもはらにせば。陰陽不測の神明もいかでか黍稷かうばしきにあらざることはりをうけたまはざらんや。

一佛法をたとぶべき事。