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は。四度の幣といひて。伊勢太神宮へ王氏。卜部。中臣。忌部の四姓のつかひをたてられて。とりわき兼日の御神事など有て嚴重の祭也。代々の聖主はいづれも我御身のためとはおもひ給はず。万民のためにかくのごとき祭などをさだめさせ給へる也。神明も由緖なき祭をばうけたまはず。天子は百神の主也と申せば。日本國の神祇はみな一人につかさどり給ふ。次には天下主領の大將軍をまもり給べし。諸國の神社は又その國の國司守護地頭に屬し給へるによりて。祈年祭の二千餘座をば國司につけらるゝ也。又神は我子孫の祭をとりわきうけ給ふによりて。諸社の祭の使には神の御子孫をたづねもちひらるゝなり。石淸水の使には源家の人。春日の使には藤氏。北野へは菅氏をもちひらる。其人なき時は他姓をもさゝるゝ也。八所御靈と申はむかし謀叛をおこしてその心ざしをとげず。あるひは又何事にてもうらみをふくめる人の靈をまつられたる社なり。これらは和光垂迹の神明にてはましまさゞる也。もろこしに神といふはおほくは先祖の靈をまつりて神といふ。御靈などのごとき也。かくのごとき神のたゝりをなすことあらば。いかにもその子孫尋て。官位をもさづけ。祭のことをなさしむべきよし。橘の博覽が擬潛夫論といふものにかけり。鬼は歸する所あればすなはち癘をなさずといへり。もろこしの事なれど。鄭の國に良霄といふ物あり。つみせられて死にき。その靈疫癘となりて人民をそこなひしとき。子產といふ智惠の者ありて。良霄が子に官をさづけて祭のことをつかさどらしめしかば。それよりのちは人をころすことやみ侍り。又神の詫宣といふ事昔はつねに有けるにや。弘仁 三