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群書類從卷第四百七十六
雜部三十一
小夜のねさめ
後成恩寺關白兼良公
唐國にはおほく春をあいし。我國の人は昔より秋に心をよするなるべし。されば光源氏も我身にしむる秋の夕風とながめ給へり。萬葉集より代々の歌にも此二のあらそひ未いづれと定がたし。霞める空に花鳥のいまめかしう色なることは。わかき時のほこらしき心なれば。秋のうれへのみぞ老の夕はげに忍がたく侍る。長月廿
群書類從卷第四百七十六
雜部三十一
小夜のねさめ
後成恩寺關白兼良公
唐國にはおほく春をあいし。我國の人は昔より秋に心をよするなるべし。されば光源氏も我身にしむる秋の夕風とながめ給へり。萬葉集より代々の歌にも此二のあらそひ未いづれと定がたし。霞める空に花鳥のいまめかしう色なることは。わかき時のほこらしき心なれば。秋のうれへのみぞ老の夕はげに忍がたく侍る。長月廿