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つには。人の恐侍らぬほどに。いよ〳〵はらのたつも詮なき事也。たゞ道理と云ことにこそ。人はおそれはぢらひ侍べけれ。たゞ腹だつべきことには。かまへて〳〵心をしづめて。思ひなをすべし。非をあらたむることを。はばからざるがよきこと也。よくもあしくも我しつる事なればとて。そのまゝに心をもとをしふるまふは。第一のなんなり。又よきといはるゝは。たゞをだしくて三歲の子のやうなるをいふとて。はらのたつをもたてず。うらむべきこと。なげくべきこと。又人にも必おもひしらするふしなどをも過しなどして。この人は。ともかくも人のまゝなるよと人にしられたるは。なかなか人のためもわろく。わがためも失の侍べきなり。心をば閑にもちて。しかもとがむべきふし。云べき事をばいひて。無明無心の人とおもはれぬはよきなり。たかき世には。人ことによかりければ。さやうのひとをよしともあしとも申べし。此比はあるひはめたれをみ。あるひはわゝく心のみ侍ほどに。一すぢにやはらかにうるはしき人をば。人のいやしむる也。無心の道人などとて。佛法者などの。目も心もなきやうにみえて。三歲の孫のごとくなどいふは別のことなり。又愚癡の人は。ものゝ惡もわきまへず。只默々としたるは。よき人といふべきにあらず。是程のことはよく〳〵思ひわくべき也。座禪する僧達などは。生つきより利根なる事はなきも。心をしづかにするゆへに。諸事に明かなり。學問などする人も。その事を一大事に心をしづめておぼえ侍るほどに他事にもをのづから利根に侍なり。たゞ人の心は。つかひやうによりてよくもなり。あしくもなり。利根にも鈍にもなるべきなり。人のさか