ある赤橋の本にして馬より下。首をたれて信心を致。祈申て云。此度の上洛背㆑理。忽に泰時が命を召れて後生をたすけ給べし。若天下の助と成て人民を安じ。佛神を興し奉るべきならば。哀憐をたれ給へ。冥慮定照覽有歟聊私を不㆑存云々。又二所三嶋の明神の御前にして誓事有き。其後は偏に命を天に任て。只運の究あらん事を待き。而聊の難なくして今に存せり。若是始の願のはたす所歟。然にもし予緩怠にして。佛神を興せず。國家の政を大にたすけずは。罪一人に歸すべし。仍一度食するに。士來れば終らずして急に是を聞。一度かみけづるにも。士來れば終らざるに是にあふ。一休一寢猶不㆑安。士愁をいだきて待ん事を怖る。進んでは深万人を安ぜん事を計。退ては必一身に失あらん事を思といへども。天性蒙昧にして不㆑及所あらん歟。誠に其罪難㆑免。今慈悲の仰を承て。感淚難㆑禁云々。
上人御語抄。
人は。あるべきやうはと云七文字を可㆑持也。僧は僧の有べき樣。俗は俗の有べき樣也。乃至帝王は帝王の有べき樣。臣下は臣下のあるべきやう也。此あるべき樣をそむく故に。一切あしき也。
かさねての仰委承候ぬ。御返事は先に申て候へども。猶同じ事を申候也。返々も故大將殿の仰をうけたまはるとおぼえ候て。忝哀にこそ覺候へ。御祈の事は。故大將殿。東大寺修造の事申行せ給て候き。又高雄の興隆も偏に御力にて・候しかば。其功德にて・後世も定て資からせ給候ぬらんと存候。文覺も此力に依て。佛の恩德を報て。衆生を利益する事にて候へば。御恩