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由申候間。泰時答申て云。平大相國禪門。君をなやまし奉り。國を煩はしゝによりて。故大將殿御氣色を承て討たいらげ。上をやすめ下を治てより以來。關東有忠無誤所に無過して罪を蒙らん事。是偏に公家の御誤にあらずや。然ども一天悉是王土にあらずといふ事なし。一朝にはらまるゝ者。宜君の御心に任せらるべし。さればたゝかひ申さん事理にそむけり。不如首をたれ手をつかねて。各降人に參てうれへ申べし。此上に猶首をはねられば。命は義に依てかろし。何のいなむ處かあらん。無力事也。若又芳免をかうぶらば可然事也。いかなる山林にも住て。殘年をも送給べきかと申たりしほどに。義時朝臣暫案じて。尤此事さる事にてあれども。それは君王の政たゞしく。國家治る時の事也。今此君の御代と成て。國々亂れ所々不安。上下万民愁を抱かずといふ事なし。然に關東進退の分國計。聊此橫難に不及して。万民安樂のおもひをなせり。若御一統あらば。禍四海にみち。わづらひ一天に善くして安事なく。人民大に愁べし。是私を存じて隨申さゞるにあらず。天下の人の歎にかはりて。たとへば身の冥加つき。命をおとすといふとも。可痛にあらず。是先蹤なきにあらず。周武王。漢高祖。既に此義に及歟。其は猶自天下を取て王位に居せり。是は關東若運をひらくといふとも。此御位を改て。別の君を以御位に卽申べし。天照太神。正八幡宮も何の御とがめ有べき。君をあやまり奉るべきにあらず。申すゝむる近臣共の惡行を罸するてこそあれ。急可罷立。此旨を二位家に申べしとて立しかば不力。これ又一義なきにあらざる上は。父の命依背なびき隨き。仍て打立て上洛仕しに。先八幡大菩薩の御前に