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をおもんじ奉らずといふ事なし。如此の功を感じ被思召けるにや。官位俸祿日々にそひ。年々にかさなり。大納言大將になさるゝのみにあらず。日本國惣追補使を被給き。かゝる時は。每度被固辭申いはく。賴朝凶徒をしづめ叡慮をやすめ。まづしき民をなでて。勅裁を亂ざらんことを存。わかきより心にかけて願來る處也。然に今飽まで官位をきはめ。恣に俸祿にあき。且此志をけがすに似たりと。かたく子細を被申けれども。勅定再三に及ければ。力なく勅命そむきがたきによりて。泣々終に領掌被申けり。仍親類眷屬恩賞に浴する中に。祖父時政。父義時。殊に厚恩にほこる。是皆故法皇の御惠の下を以て榮運をひらけり。されば彼御子孫においては。彌無二心忠を致し。益唯一つの功をつむべき旨。深心中に挿候き。然に法皇後白川崩御なり。幕下賴朝逝去の後。公家の御政廢はてゝ。忠有者も忠を失。無罪被罪輩不勝計。諸國大に煩ひ万民甚愁。差當誤なき族。重代相傳の庄園を被召放。あしたに給るものは夕に召れ。昨日被下所は今日改らる。一郡一庄に三人四人の主在て。國々に合戰たゆる事なし。所々に窂々の人多くして。山賊海賊みちみてり。諸人安堵のおもひなく。旅客の通ずる事まれ也。去に付ては。飢寒にせめらるゝ者多く。妖厄ヤ モイにあふ者數を不知。此事此兩三年殊に放廣の間。關東深歎存る刻。結句誤なき關東を滅さるべき由。內々洩聞え候しかども。さしたる支證なく候し程に愁申に不及。謹て恐怖の處に。既に伊賀判官光季課て。數万騎の官軍關東へ發向のよし聞え候し間。父義時ひそかに予を招き語云。已に天下此儀に及。いかゞはからふべき。內議をよく談じて。其後竹の御所に參て。二位家に可談イ