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に淚を押拭て申されけるは。子細もしらぬ田舍夷共の左右なく參候て。らうぜき仕候けること返々不可思議に候。さて剩尊躰を是まで入まいらせ候條。其恐不㆑少候。今度若無爲に令㆓上洛㆒候はゞ。最前に參上仕候て。生死の一大事を歎申べきの由。深心中に挾存ながら。此忿劇にさゝへられて。今に無㆓其儀㆒候つるに。不思議に御目にかゝり候事。しかるべき三寶の御はからひかと存候。就㆑夫候ては。如何してか生死をばはなれ候べき。又如㆑此の物沙汰に聊も私なく。理の儘にをこなひ候はば。罪にはなるまじきにて候やらんと云々。上人答給けるは。すこしきも理にたがひて振舞人は。後生までもなく。今生に頓て滅ならひ也。それは不㆑及㆑申。たとひ正理の儘に行ひ給とも。分々の罪まぬかれぬ事は有べし。生死のたすけとならん事は。おもひよらぬ事也。山中にうそぶく僧侶すら。猶佛法の深理に不㆑叶ば輪回暫免がたし。况や俗塵の堺に心を發して。雜念にほだされて。佛法といふ事をもしらずして。あかしくらさん人をや。世に大地獄といふものゝ現ずるは。唯其等の御樣なる人の墮てにへかへらん料にてこそ候へ。無常の殺鬼は弓箭にも不㆑恐。刀杖にも不㆑惶者也。只今