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梓弓かへるさ近くなりにけりおなしやはきの宿をとふまて
廿五日。此御とまりを立侍て。なるみのほとりを過侍とて。
[一行闕]
廿六日。濃州すのまたと申所にて。
をのつから名になかれすの又類あらしとみゆる浪の上哉
なが橋と申所にて。
立かへる此長はしも長月やすゑになるまて日數へにけり
廿七日。たる井の御とまりをつとめて立侍しに。山田の面にいねほしたるをみて。
朝日さす山田のをしねかりつみて夜をく露を先やほす覽
かしは原と申所にて。
秋さむみ下葉いろつくかしは原露のみもろく風渡る也
さめが井と申所にて。
君か代は流れも遠しさめか井のみつわくむ共盡しとそ思ふ
をのと申所にて紅葉を見侍て。
たひ衣もみちのぬさもとりあへす都のにしき又やかさねん
あつさの關にて。
もろ人も此せきの名の梓弓手にふれぬ代はのとか成らし
武者の宿につき侍て。
わか君の御代をおさむる武者の名を聞里もしつか也けり
この御とまりにて御詠を被㆑下侍しに。
若枝のみそふへき千世の秋かけて何か老その杜の紅葉は