れうをはしたんにそめたり。うはきはきくの五へ。かいねりはくれなゐ。すかたつきもてなし。いさゝかはつれてみゆるかたはらめ。はなやかにきよけなり。辨の內侍しるしの御はこ。くれなゐにえひそめのをりものゝうちき。裳からきぬは。さきのおなしこと。いとさゝやかにおかしけなる人の。つゝましけにすこしつゝみたるそ。心くるしうみえける。あふきよりはしめて。このみましたりとみゆ。ひれはあふちたん。ゆめのやうにも今宵のたつほとよそほひ。むかしあまくたりけんをとめこのすかたも。かくやありけんとまておほゆ。近衞つかさ。いとつき〳〵しきすかたして。御こしのことゝもをこなふ。いときら〳〵し。頭中將御はかしなとゝりて內侍につたふ。みすの中を見わたせは。色ゆるされたる人々は。れいの靑いろあかいろのからきぬに地すりの裳。うはきはをしわたしてすはうのをり物なり。たゝむまの中將そえひそめをきて侍し。うちものともは。こき簿き紅葉をこきませたるやうにて。中なるきぬとも。れいのくちなしのこきうすき紫苑色。うらあをき菊を。もしは三重なと心々なり。綾ゆるされぬは。れいのおとな〳〵しきは。むもんのあをいろ。もしはすはうなとみな五へにて。かさねともはみなあやなり。おほ海のすりもの。水の色はなやかにあさ〳〵として。こしともは。かたもんをそおほくはしたる。うちきはきくの三へ五へにて。をり物はせす。わかき人は。菊の五へのからきぬを心々にしたり。うへはしろく。あをきかうへをはすはう。ひとへはあをきもあり。うへうすすはう。つき〳〵こきすはう。中に白きませたるも。すへてしさまおかしきのみそ。かと〳〵しくみゆる。いひしらすめつらしくおとろ〳〵しき
