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へと申は。ほとけもあはれときゝいれさせ給ひけむかし。ふゆになりて。日暮し雨ふりくらひたる夜。雲かへる風はげしう打吹て。そら晴て月いみじうあかう成て。軒ちかき荻のいみじう風にふかれて。くだけまどふ
秋をいかに思ひいつらん冬深みあらしにまとふ荻の枯はは
東より人きたる。神拜といふわざして。國のうちありきしに。水おかしくながれたる野のはるばるとあるに。
とゝめをきて我こと物や思ひけんみるに悲しきこしのひのもり
となむおぼえしとあるを。みる心ちいへばさらなり。返ごとに。
こしのひを聞につけても留をきしちゝふの山のつらき東路
かうてつれ〴〵とながむるに。などか物まうでもせざりけん。はゝいみじかりしこだいの人にて。はつせにはあなおそろし。ならざかにて人にとられなばいかゞせん。いし山關山こえて。いとおそろし。くらまはさる山ゐていでん。いとおそろしや。おやのぼりてともかくもと。さしはなちたる人のやうにわづらはしがりて。わづかに淸水にゐてこもりたり。それにもれいのくせはまことしかべいこともおもひ申されす。ひがんのほどにていみじうさはがしうおそろしきまでおぼえて。うちまどろみいりたるに。み帳の方のいぬふせぎのうちに。あをきをりものの衣をきて。にしきをかしらにもかづき。あしにもはいたるそうの別當とおぼしきがよりきて。ゆくさきのあはれなら