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 其夜より我身の上は知れねはすゝろにあらぬ旅寢をそする

なと聞ゆる。なにかはかくねんころにかたしけなき御心さしを見しらす。心こはきさまにもてなすへき事はさしもあらてなと思へは參りなんと思たつ。まめやかなる事とて。いふ人あれと耳にもたゝす。心うき身なれは。すくせにまかせてあらんと思にも。その宮仕よ。今更にほいにもあらす。いはほの中こそすまゝほしけれ。又うき事もあらはいかゝせむ。いと心なきさまにこそ思ひいはめ。なをかくてやすきなまし。ちかくてたに親はらからの御ありさまもみ聞えん。又ほたしのやう成人々の上もみ定めむと思ひたちにたれは。あいなし。參らん程まてたに。ひなひにいらへ聞しめされし。ちかくてはさりとも御覽してんと思ひて。すき事せし人々の文もなしとのみいはせて。更に返事もせすのみあるほとに。御文あり。見れは。さりともと賴みけるかをこなり。なと多くの事の給はせて。よしたゝいはみかたとはかりあるに。むねうちつふれてあさましう覺ゆ。めつらかなるそら事とも。なといと多く出てくれと。さはれなからん事はいかゝせむなと覺えて。過しきぬるを。これはまめやかにの給はせたれは。思ひたちける事ほの聞ける人もあへかめるに。をこなるめをも見るへかめるかなと思ふに。かなしくて。御返聞ゆへきこととも覺えす。又いか成事をきこしめしたるにかと思ふに。はつかしうて御返事も聞えねは。有つる事をはつかしと思ふなめりとおほして。なとか御返も侍らぬ。されはよとこそおもほゆれ。いとゝしくもかはる御心かな。人のいふ事ありしかは。よもと思ひなから。思はましかはとはかり聞えしそとあるに。むねすこしあきて。御氣色もゆかしくて。何事にかときかま