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は。さなめりとおもひてさふらふ。あやしき車にて。かくなんといはせ給へれは。女いとびなき心ちすれと。なしと聞ゆへきにもあらす。ひるも御返きこえさせつれは。ありなからは。さなからかへし奉らんもなさけなし。物はかりはきこえさせむとおもひて。にしのつまとに
はかもなき夢をたにみて明しては何をか夏の夜語りにせむ
とのたまへは。かくなむ。
よと共にぬるとは袖を思ふみものとかに夢を見る宵そなき
まいてときこゆ。かろ〳〵しきありきなとすへきにもあらす。なさけなきやうにおほすとも。まことにものおそろしきまてこそおほゆなとのたまひて。やをらすへりいり給ひぬ。いとわりなきこゝちすれと。いふかひなきに。事ともをいひちきりて。あけぬれはかへり給ぬ,いまのまはいかゝとあやしくこそとて。
戀といへはよの常のとや思ふ覽今朝の心はたくひたになし
御返し。
よの常の事ともさらにおもほえす初て物をおもふみなれは
ときこえても。なをあやしかりける身かな。こはいかなる事そとあはれに。古宮のさはかり