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れりき。みゆきの後奉れりしかば。あるみさうしのまへのみぞにすへたりしを。このみこのみ給ふものなり。かの石をたてまつらんとのたまひて。とりにつかはす。いくばくもなくてもてきぬ。この石きくよりは見るまさりたり。これをたゞにたてまつらば。すゞろなるべしとて。人々に歌よませ給ふ。むまのかみなりける人よめり。
あかねとも岩にそかふる色みえぬ心をみせん由のなけれは
この石は。あをきこけをきざみて。まきゑをしたらむやうにぞありける。
昔。氏の中にみこうまれ給へりけり。御うぶやに。みな人々歌よみけり。御おほぢのかたなりけるおきなのよめる。
我もとに千尋あるかけをうゑつれは夏冬誰か隱れさるへき
これはさだかずのみこ。中納言ゆきひらのむすめのはらなる淸和の親王なり。時の人中將の子となんいひける。
むかし。おとろへたる家に藤の花うへたる人ありけり。いとおもしろうさけりけり。やよひのつごもり。雨のそぼふるに。人のもとにおりてたてまつるとて。
ぬれつゝそしゐて折つる藤の花春は幾日もあらしと思へは
昔。左のおほゐまうち君いまそかりける。かも河のほとりに。六條をいとおもしろくつくりてすみ給ひけり。神な月のつごもりがたに。菊の花うつろひて。木くさのいろちぐさなるころ。みこたちおはしまさせて。さけのみあそびて。夜あけゆくまゝに。このとののおもしろきよしほむるうたよむに。そこなりけるかたいおきな。みな人によませはてゝ。いたじきのしたをはひありきてよめる。
鹽竈にいつかきにけん朝なきに釣する舟はこゝによらなん
とよめるは。みちのくににいきたりけるに。あ