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當すとなす。卽ち某現象卽ち六十四卦の或る一個は「太極兩儀四象八卦」の順序を經て生成せし者となさゞるを得ない。是れ易の哲學にありては正當なる思想である。

 天文學に在りて日月の蝕を豫測するは自然の法則を數ふるによる。易も亦宇宙生成の自然の法則を數へて以て未來を豫測せんとするものである。此の「數ふる」と云ふことが易の作者に取りては占筮の正確なる所以の某礎と思はれたのである。故に十翼の中「數」なる文字は屢々用ひられた。易の作者以爲らく。太極陰陽四象八卦の順序を追ふて以て重卦を得るときは其の重卦たるや自然の法則を數へて以て得たる者なるが故に正確にして誤りなき者であると。然れども今日より見れば重卦を得る所以の此の方法は易の作者の符號にして知らざる者より見れば必ずしも宇宙自然の法則を數ふる者とは思はれない又天文學が計算によりて未來を豫測し得るは具躰的事實に對する具