Page:EkiToJinsei.djvu/22

このページは校正済みです

ふ。筮竹を數ふるは則ち過去の因果的連絡を踪蹤するに象るのである。是れより一直線に進むで未來なる某の現象を知らんとす。卽ち本文は未來を知ることを言ふたのである。然るに未來に關する「逆」なる文字より直ちに「是故易逆數也」と言へるを以て見れば占筮の未來にあるを知るに足る。又曰はく。

夫易彰往而察來。而顯微關幽。開而當名。辨物正言。斷辭則備矣。〈下繫第六章〉

彰往とは卽ち筮竹を數ふるに外ならない。易の占筮は過去の進路より推して以て未來を知らんとする者なること此れ等の引用文によりて明かである。然らば占筮の此の思想は易の哲學より如何にして起り來るかと云ふに字宙生成の思想よりする者に外ならない。易の哲學は宇宙生成の進路を以て「太極、兩儀、四象、八卦」となす。自然現象を指すのである。八卦を重ねたる六十四卦は社會に於ける六十四の狀態を示めす者而して今占せんとする某の現象は其の中の何れか一に該