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英語の師イルグネル Ferdinand Ilgner 我房にありて待てり。語學の師は多く貧人なれば、往いて學ぶ徒弟なく、必ず來て敎ふるなり。夜は獨逸詩人の集を涉獵することゝ定めぬ。
二十六日。けふは日曜日なり。禮拜堂の鐘の聲、ひねもす耳に喧し。料理店烟草屋の外は、商家皆戶を閉ぢたり。
三十一日。學長の選擧あり。學生松明を點して、往きて賀す。
十一月一日。
三日。警察署にゆきて寄留證を領す。
九日。ホフマン師の家を訪ふ。白手套は買ひたれど、黑き上衣なきゆえ飯島に借りぬ。
十二日。ハイデルベルヒ Heidelberg なる宮崎道三郞の書到りぬ。對中井上哲次郞のわが盜俠行(水沫集六〇九面)を改刪し、評語を加へたるあり。井上と相識るやうになりたるをば、嬉き事におもひぬ。
十六日。始て雪ふる。舊劇部 altes Theater に往きて、嬉劇 Raub der Sabinerinnen を觀る。午後七時に始りて、十時に終りぬ。
二十七日。ホフマン師に招かる。夫人と相見る。
十二月十五日。ベルツ師 Erwin Bälz 我業室を音信れぬ。夜ホフマン氏ベルツ師とショイベ Botho Scheube とを招きて、われもその宴に陪せしめき。
十七日。ベルツ師に招かれて、酒店に晚餐す。
二十五日。けふは祭日にて、こゝの人々互におくりものす。
二十八日。理學士九里龍作おとづれぬ。久く龍動にありて器械學を修めきといふ。佐藤元萇師の書到る。郵筒