斷片は一九二二――一九三〇の間に散逸的に書かれてゐるもので第一部は七八年前のものである。
斷片及び斷片的なもののみが集められた事は編輯的立場からであつて他に理由はない。
斷片は今日より明日へと自分を築かうとして自分の身体にうち込んでゐた一本一本の釘であるとも云へる。これは日記以上に自分のヂカなものゝ斷片(カケラ)かも知れない。また反面から云へば自分の生活を箒で掃き出した、その紙屑がこれだと云つても好い。どつちでもおんなじ言葉だ。