みな玄關に出て僕を見つめてゐた 僕は皆の顏を見て笑つた 僕はその金でどつさり思ひ切つて果物を買つて 君の母の所へ歸つて來た だが 君は生れて 父の生れた土地へも行かない 母の生れた土地へも行かない 兩方とも僕達をきらつてゐるのさ 僕はどつちへも通知しない 然しそんな事が何んだ 君はここの所から出發すればいゝんだ 何物も怖れるな 勇敢なるかつ誠實なる戰ひの旗を 僕は死ぬまで君のために振るよ。