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一切の小細工を押し流して巨大なるかつて無き姿を現はさうとしてゐるのだ
片隅でこそやるな。


斷 片 51


演壇には光つた槍の旗が赤く立つて景氣が好い
演壇の上では盛んにデマが踊る
雲集してる群集は默つてゐる
俺達は頭の上を通つて行く愚劣な拍手と歡聲を聞いた
だが群集の歸途には
彼等の姿も言葉も狀景も何物にも接しなかつたやうな暗さがある
芝居をした者と芝居を見せられた者は