斷 片 46
すべ〳〵した顏にきちんとし 唇のまはりについてゐるでたらめを舐め廻し 貴樣が弱々しい肩肱を怒らさねばならぬのを見た時 俺は一時にぼうぼうたる髯を顏中生やしたく思つた 奴等のやさしい靑色の血が止つてしまふやうな 默つて呆れて咽喉笛が動かなくなつてしもふやうな事は朝飯前なんだ その時が來る それまで默る俺達なんだ あいつ等のちつぽけな名譽とか人格が何故大切だかも知らん顏してゐてやるのだ