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斷 片 3


子を包ひ街上にビラを持つて立ちし妻よ
富者の歌はいんざんに虐殺の黑い凱歌を上げてゐる
熱愛のひそんだ銃彈の響きを我等聞かふ
妻よ
赤いひなげしの花にわが眼はいたましい戀愛を君に感ずる朝だ。


斷 片 4


明るい空も激越の目には暗い 鐵の固りのやうに燃えてゐる