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なり』と稱し、而して西班牙王に與ふるには、『其民の服從を甘んずるが故に人の王なり』との稱を以てしたるが……されど歧說は姑く之を措け。

 道德と專制權との二語は、アングロ、サクソン人民の以て、氷炭相容れざるの感をなすものならん。ポベドノスチエフは、英國社會と他の歐洲諸國の社會との、各〻其根底を異にする所を明示して、後者の人民共通の利害を基礎とするに反し、前者は其著しく發達せる特立の個人性を重んずと謂へり。此露國政治家が、歐洲の大陸諸邦、就中スラヴ民族の國家に在りては、人民は個人權を棄てゝ、其社會の團結と國家終極の目的とに合すと云へることは、我國民に於て、特に其然るものあるを見る。故に日本に於ては、王權の自由行