このページは検証済みです

を以てして、尙且つ武士道シヴアリー若くは此類の制度は、古代史の邦國、又は現時の東洋に於て、之を認むること能はずと斷言せり。さりながら、此の好博士の名著『歷史哲理解』第三版の刊行せられたるは、水師提督ペリーの浦賀に來りて、我朝二百年鎖國の門戶を叩きたると、其年を同じうするより之を見れば、當年のミラー博士が無識も亦た大に恕すべきものあらん乎。此より後十餘年、我封建制度の將に滅亡せんとして、氣息奄々たりし時に當り、カール、マークスは『資本論』中にて、社會學及び政治學よりして、封建制度の特質を硏究せんとせば、現に日本に於て、特り其命脈を維持せる此制度を活例として、之を觀察するの、頗る有益なるを云へり。然るに予は、今玆に、泰西の史學家、論理學者に寄語す、請ふ、現代