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り。されど吾人とても亦た、實にこの蒼穹の下に住める、凡ての人類と共に、哀樂の優しき情緖に感ずるの民なり。

 一理より推すに、盖し我が日本人は、自然の發情を敢て制遏せんとして、却て苦痛を增加するものなるが故に、他國の人に倍蓰して纒綿多感ならずんばあらず。試みに思へ、小童、少女が、流涕呻吟して以て、其感情を緩やかにすること勿からんやう養成せらるゝを。而して斯の如きは其神經を遲鈍ならしむべきか、將た更に之をして銳敏ならしむべきか、此れ正に生理學上の一問題なり。

 苟も士たるものにして、情感の其面に動くは、丈夫の事に非らずとし、『喜怒色に現さず』とは、强固の性格を評するの語なりき。自然の愛情を抑制し、父たるもの、其子を抱くは、