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ほ且つ、近時ブトミー氏の云へるが如く、『祖先たる獨逸種族が、其酋長と其子孫とに對して盡せる忠厚の念は、多少の漸變を經て今日に至り、英國人の其君主の血統裔種に對し、深厚なる忠節となれることは、彼民の王室に表する多大の愛敬の能く之を證するものあり』と云へるを記憶せん。

 スペンサー氏は預言して、政治上の從屬は、變移して良心の敎示に忠なるに至るべしと。此の推理の實現せらるゝことありとせん乎、然らば果して、忠節の念は之に伴ふ尊を尊ぶの本能と共に、永遠に消滅すべき乎。吾人は此主に對する忠義を、彼君に移して、雙者に對して不信なること無く、此世の權威を掌る治者の臣たると共に、又た我良心の至聖殿に在ます天帝の僕たるを得るなり。數年前なりき。ス