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ことさらに胸をはだけて市をゆきあらくれたりしはこの我ならず


くすり草野にはびこれど男らはきんをぬかるる歎かひをせり


れんが塀高くめぐらす街角に声あり逃げよ逃げよといざなふ


真中に盲点のある目をもてばまひるの空に日輪も消ゆ


しろがねの鍼とがらせて眼のたまにさぐりあてたる痛覚をなぶる


砲身に火蠅なしつつみだれ散る夷狄人ならずむかしも今も



 年輪


ひとしきりをん雷あがる午さがりこの空の青が我をただらす


のぼりきて見放る沖のかくれ岩神々の敵意ここに泡だつ


傷つける老樹の肌を滲みいでし脂はしたたる乾けるが上に