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眼も鼻もくされはてたるわが今日をしみつきて鳴くはなにの蟲ぞも


夜をこめてひらくおもひは夕顔の莟ほつるる音もあらなくに


おほきな蜘蛛が小さい蜘蛛に嚙みついたおれはどろんと赤い日を見た


おしなべて帰命を急ぐもののこゑ月夜の風も矢玉の殻も


青空にたぶらかさるる野面にはみしらぬ国の花咲きみだれぬ


 錆


ほろびゆく官能のはてに見ひらくはいつの夜あけに青かりし


はなひれば星も花弁もけし飛んで午夜をしづかに頭蓋のきしむ


骨うすき秋草の扇子とりもてば女ならざる不覚さ思ふ