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かみそりのうすきにふるるときのまを何の葉づれの思ひを去らぬ
暮れのこる黄色い壁にへだてられ薔薇も空気もよごれてしまひぬ
昨日の薔薇を喰つてゐたこいつがこいつがと夜の
颱風
襲ひくる白雨のつぶてに打たれつつ生身素肌は神を凌げり
炎天に埃もたたぬ鋪装路のまつすぐなのがまた忌々し
鳴く蟬の声ををかして踏入れば籬にくづるるわが影ありき
薔薇が咲き日がさしそれが見えてゐるこんなことさへただごとなのか
今日の日を黄色い壁にかこまれて疑ひだせば瞬きもならぬ
殼をぬぐ蟬の目色がかなしいとそんなところをうろついてゐた