若き木魂
なにごとのけはひ乱るるわか葉の森脱けいづるとき日は額(ぬか)を搏(う)つ
野を罩めてわか葉の涯も見えわかずあるが儘なる身に帰り来ぬ
とある夜をわたる日輪あたふたとけだものどもは腹を曝しつ
あかつきのどよみを越えて還りゆく夢は昨日の路に盲ひぬ
人の世のこゑ還りくるわが額(ぬか)にみだれて花の眸は白し
白花に置きのこされた夢がありまのあたりなるわが葉に逸る
化石
籬にはつゆの白花かわきつつまたがらくたな今日の日射しきぬ
白頭のわれならなくにあけ暮れをいまは童の花摘みあそぶ