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 秋日記


あかつきの風が投げこむ花の束いつか季節はぴしぴし清らか


梧桐の昼は旺んな陽のにほひあらぬ肢体がゆらゆらと撓む


いつしかに狙ひ撃つ気になつてゐるそのするどさをはつと見返へる


ぬぐへども潔まらぬ掌のまのあたり日輪はまた赤く溺れる


脱走の夜ごとの夢はおづおづととほ団欒まどゐの灯を嗅ぎまはる


あきらめか何かわからぬ褪せた血が凩よりも暗く流れる


 光陰


墜ちてゆく穴はずんずん深くなりいつか小さいそらが見えだす


草の葉にかたむくそらを手にうけて冬を眠りの土に入りゆく