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空はもうかすんでゐるのにこの朝の海へ落ちこむ沢山な蝶


春のぬめいちやうに眼をひらきわれも絵具もはじかれてゐる


干潟には鐘が鳴るなり捕られても浅蜊は浅蜊脊中を合はす


野茨のみだれに影をくづしては夏を呼びつつ青空を踏む


ともすれば春になじまぬ今日このごろ空に鳴きつつ菜の花も見ず


 音楽


昨日こそ四方が失せたと目をさまし空には無頼の花びらばかり


つぎつぎに覘く指尖ほそくなりあげくは夢に紛れてやみぬ


この上は槍を投げ込め太陽も鴉も消える真昼間の穴


軽戦車重戦車など遠ざかり花びらをふ小犬と私