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月の夜を光る茸だともすれば尾で立ちあがる蛇だその
天心に泛ぶ白露に草の香にころがれころがれ
夜⑵
水銀柱窗にくだけて仔羊ら光を消して星の座をのぼる
しつくひは透明になりわが息に月も花瓶も触れてくだけぬ
ふと黒きけだものの爪反るを見ぬ裸像にともすある夜のわが手
また一つ灯らぬ窗が世に殖えて犬も子どももひたと啼きやむ
童心は寝ものがたりにをののきぬ月の暈には雨の星一つ
更くる夜のアルバムの瞳はことごとくわれの凝視をはじきて凋む
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