四、舊土人(きうどじん)小學校(せうがくかう)の經費(けいひ)を增(ま)して、之(こ)れが經營(けいえい)に遺憾(ゐかん)なからしむべし。餘(あま)り多(おほ)く國家(こくか)に依賴(いらい)して御迷惑(ごめいわく)を掛(か)くるは、善(よ)き事(こと)にあらざれども、アイヌの境遇(きやうぐう)にては、是(こ)れ亦(また)止(や)むを得(え)ざるものなり。
以上(いじやう)は筆者(ひつしや)の愚(おろ)かなる意見(いけん)にして、定(さだ)めて採(と)るに足(た)らざるものならん。願(ねがは)くば江湖(かうこ)の諸賢(しよけん)、憐(あは)れなるアイヌの爲(た)めに、良按(りやうあん)を立(た)てて十分(ぶん)の敎育(けういく)を施(ほどこ)し給(たま)はんことを。
第五章 アイヌの工藝
(一)アイヌの造る品物