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したるものは極（きは）めて稀（ま）れなりき。三縣（けん）時代（じだい）に至（いた）り恐（おそ）れ多（おほ）くも　帝室（ていしつ）よりアイヌ敎育（けういく）資金（しきん）を御下賜（ごかし）あらせられ、三縣（けん）に於（おい）ても大（おほい）に敎育（けういく）を奬勵（しやうれい）せられたれば、アイヌ兒童（じどう）の就學（しうがく）するもの稍（や）〻多（おほ）くして其（そ）の中（うち）二三の者（もの）は、進（すゝ）んで敎員（けうゐん）たる免許（めんきよ）をも得（う）るに至（いた）れり。

　北海道廳（ほくかいどうちやう）となりては、其（そ）の初（はじ）め、進步（しんぽ）の觀（み）るべきものなかりしが、明治（めいぢ）三十三年（ねん）舊土人（きうどじん）保護法（ほごはふ）の發布（はつぷ）せらるゝに及（およ）び、相當（さうたう）集團（しふだん）せる部落（ぶらく）には、同法（どうはふ）第（だい）九條（でう）に依（よ）り、國費（こくひ）を以（もつ）て舊土人（きうどじん）小學校（せうがくかう）を設（まう）けられ、之（こ）れに依（よ）りてアイヌ敎育（けういく）は再（ふたゝ）び進步（しんぽ）することゝなりたり。

　敎育（けういく）の方法（はうはふ）は初（はじ）めは和人（わじん）の子弟（してい）と同（おな）じく、敎科（けうくわ）も年限（ねんげん）も、皆（みな）、一般（ぱん）の規程（きてい）によりしが、其（そ）の後（ご）の經驗（けいけん）により、實際（じつさい）の狀況（じやうきやう）に適（てき）せざる所（ところ）あるを以（もつ）て北海道廳（ほくかいどうちやう）長官（ちやうくわん）は、文部（もんぶ）大臣（だいじん）に申請（しんせい）して許可（きよか）を受（う）け、大正（たいしやう）