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れ一にんとしてれを射當いあてたものが、かつた。最終さいしうのお子樣こさまゆみにつがへるとき、おおくの神樣かみさまみないきをころして、雪玉ゆきだまとを見比みくらべたが、お子樣こさまは、ねらひをさだめ、ゆみきしぼつてひようと一矢ひとやはなした。雪玉ゆきだまふたつに射切いきられて、東西とうざいぶとえしが、不思議ふしぎや、しろとりしろけものとになつてひがし西にしわかれたので神樣方かみさまがたあつぱれな手際てぎはと、不思議ふしぎなこととに「アツ」とおどろかれた。のち、このとりを「アイヌサチリ」(〈アイヌシチリともいひ、體白く鳩より小さく頭上に羽毛ありと〉)とひ、けものを「イソポ」(〈イセポとも云ふ。兎なり〉)としようし、ふたつながら、アイヌにえきあたへつゝあるのである。月桂冠げつけいくわんられたるお子樣こさまは、「オイナカムイ」とも、「サマユンクル」とも、「ワリウネクル」ともまをして、「カンナカムイ」(雷樣かみなりさま)と「アペフチカムイ(神樣かみさまにて