重き神とす。今回の事件はアイヌ(人間)の思ひよらざるが如く神々の目をも暗まされしものならん。
彼は惡魔のため「イヲロ」(山野)に死せしものならば、「シランパカムイ」(〈木を支配する神〉)は知らぬ道理無き筈。川に死せしとするも、川は「アペフチカムイ」の妹なれば、アイヌに知らしむべく、死體を海に流し、「トマリコロカムイ」(〈海の神〉)は之を受て岡に上る筈なり。然るに彼れは惡魔のため、魔力を得て、天に驅りしか、地に潜りしか。嗚呼恐るべき惡魔よ。されども、神世の昔より、惡神(惡魔)が善神に勝ちし例は、「ウパシコマ」(〈祖先の敎へ〉)に無し、故に彼の靈は神の手に奪はれて、人のをさまるべき處に參るを得べし。
今日玆に、
我等の
刀の
力と
祈とを
以て、
善神に
助力し、
必らず
惡魔