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と言（い）へば、「憎（にく）きは此（こ）の者（もの）なり」と罵（のゝし）り、甚（はなは）だしきは、毆打（おうだ）することあり。此（こ）れ蓋（けだ）し一種（しゆ）のヒステリーなるべし。婦人（ふじん）は是（ぜ）にも非（ひ）にも男子（だんし）に從（したが）ひて、男子（だんし）の壓伏（あつぷく）に常（つね）に不平（ふへい）を感（かん）じ、反抗心（はんかうしん）を抱（いだ）きつゝあれば、遂（つひ）に之（こ）れが「イム」となりて顯（あら）はるゝにあらざるか。

⑷　ツス

「ツス」は易（えき）なり。一種（しゆ）の豫言（よげん）なり。男女共（だんぢよとも）老年（らうねん）に及（およ）びて、行（おこな）ふものにして、就中（なかんづく）老婦（らうふ）に多（おほ）し。アイヌは疾病（しつぺい）の原因（げんいん）、凶事（きようじ）の前兆（ぜんてう）を見出（みいだ）し之（こ）れを未然（みぜん）に防（ふせ）ぐ方法等（はうはふとう）を知（し）らんとする場合（ばあひ）には、「ツスグル」（易者（えきしや））卽（すなは）ち巫子（みこ）を聘（へい）して之（こ）れを言（い）はしむ。現今（げんこん）にても此（こ）の風習（ふうしふ）盛（さか）んなり。

「ツスグル」の聘（へい）せられて、家（いへ）に入（い）るや、恍惚（くわうこつ）自失（じしつ）の境（さかひ）に彷徨（はうくわう）し、病（やまひ）の