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刺戟（しげき）に依（よ）り、獸類（じうるゐ）・魚類（ぎよるゐ）の棲（す）む個所（かしよ）の方向（はうかう）を知（し）り、之（こ）れを便（たよ）りて獵（れふ）に出（で）かけるなり。これのみならず、珍（めづ）らしき來客（らいきやく）も「ノイボロクス」によりて豫（あらかじ）め知（し）ることを得（う）べし。筆者（ひつしや）若年（じやくねん）の頃（ころ）「ノイボロクス」の名人（めいじん）の言（い）ふことの一々適中（てきちう）するを見（み）て、不可思議（ふかしぎ）なるに感（かん）じたり。現今（げんこん）にても、獵人（れふじん）等（ら）は之（こ）れを重（おも）んじ、其（そ）の名人（めいじん）に問（と）ひ合（あは）せ、又（また）自（みづか）ら爲（な）して働（はたら）きを敏活（びんくわつ）にするに努（つと）む。

⑵　オハインカラ及びオハイヌ

「オハインカラ」（〈オハは空、インカラは見る〉）は、蜃氣樓（しんきらう）の事（こと）なるべし。神（かみ）かアイヌに事（こと）の善惡（ぜんあく）を通（つう）ぜんため、物體（ぶつたい）を示（しめ）すなりといふ。平坦（へいたん）なる野（の）に、山（やま）――川（かは）など顯（あら）はれて、行手（ゆくて）を塞（ふさ）ぐことあり。斯（かゝ）る場合（ばあひ）は必（かなら）ず引返（ひきかへ）さゞるべからず、若（も）し、强（しひ）て之（こ）れを通（とほ）り拔（ぬ）くるときは、神（かみ）の御敎（みをしへ）に