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附近ふきんごときは、もつときらふものとす。

 いへ出入口でいりぐちかなら川下かはしもはうにし、便所べんじよ入口いりぐちより七八けん乃至ないし十五六けんぐらゐはなれて、男女だんぢよ別々べつつるを普通ふつうとす。まど川上かはかみむかひて「カムイブヤラ」(かみまど)をまうけ、此處ここよりくまあたまれ、また祈禱きたうをなすにもちふ。左側ひだりがはには「イトムンブヤラ」としようするまどまうけ、ひかりり、そとながむるに使用しようす。

 川上かはかみたつとぶは、川奧かはおくに、くらゐたか神々かみいませばなり。神々かみひと出入口でいりぐちしめし、また便所べんじよ差向さしむけるとうことあらば、ものは、祖先そせん以來いらいのしきたりを無視むししてはなは無禮ぶれいなるのみならず、たちま神罰しんばつかうむり、一滅亡めつばうすべしとふ。

 またアイヌは通行中つうかうちう川上かはかみ山奧やまおく)にむかひて立小便たちせうべんするはかみたいして、