とは、全く異れりと云ふ。其の住居せし穴の遺蹟といふは、方形又は圓形にして全道處々に散在し、現に北海道大學の博館物の構內にも、其の大部分埋りたる穴が、大切に保存せらるゝを見る。
「コロボックンクル」に就きての傳說は、地方によりて、多少の差違あり、今其の一つを左に記さん。
「コロボックンクル」は人間ではなく、神樣で、極めて小さい人の脛位しかなかつたのである。此の神樣は、人と競爭することが大そう好きで、人が魚を捕りに行くにも、旣に先廻りして、魚を捕り、山へ「ウバユリ」(姥百合)を穫りに行くにも先廻りして「ウバユリ」を穫る、仕事をする音や、話し聲は聞えるけれども、其の姿を見ることが出來ぬのである。