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して聯邦を維持するの一あるのみと。

 『我事情を制するにあらず、事情我を制する也』とは、彼が當時の感慨なりき。戰は進みて慘より慘に至り、危險は更に危險の度を增すに及びて、彼は下の如き自信に到達したり。人を殺し財をなみすることしかく太甚しき此の戰をして、無益の犧牲に終らざらしめんが爲に、大元帥たる者の爲すべき所は、直に叛逆黨の中心に向ッて一大打擊を與へ、之によりて彼等の立脚地を根本より破壞することにてありき。彼の語に於て之を言はゞ、

 『全力を盡くして憲法を擁護すべしといふ余の宣誓は、不可避の方法に依りて政府を擁護し、國民を擁護すべしとい