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政府を倒し人民を賊せんとする如何なる威迫反對に逢着するも、吾人は決して吾人の職分を忘るベからずと。彼が議論の結尾は、最も能く人の心に沁み渡れり。曰く、

『正義は權力を生ずといふことを以て我等の信仰たらしめよ。この信仰あり、我等が一たび職分としたる所を遂行することに於て極めて大膽ならしめよ。』

 其の夜は大講堂に、翌日は紐育の全市街に、彼に對する喝釆の響は轟き渡れり。一個の風來者として來れる彼は、大成功の月桂冠を戴きて紐育を去れり。

 五年の後、何事ぞ、余は復た最後の彼を紐育に見たり。黑布を掛けて弔意を表せる靜肅なる街衢を擔はれ行く柩裡の