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『今や米國人民の眼前に橫はる大問題は、世界を通じて行はれたる二主義の爭鬪也。正と不正との二主義の爭鬪也。此の二主義の爭鬪は、古今を通じて行はれたる所にして、未來に於ても尙ほ繼續せん。人類平等は其の一也、帝王神權は他の一也。如何なる形に於て來るも、其の精神は常に異ならず。曰く勞働し、困苦して麵包を得るは爾の務也。而して之を食ふは我權利也』。

兩者の爭の到底不可避のものたるはリンコン能く之を明視せり。姑息の調和、姑息の妥協、分明こゝに至りて無用なるを認了せり。正義强きか、不正義强きか、自由勝たざれば奴隸勝たん。米人此の岐途に分れて遂に南北戰爭となれり。