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第一章 總論
一二
 

 同委員會は先づ昭和七年に未定稿として製造󠄁原價計算準則草案を發表したが其の後この草案を根本的に書き改め追󠄁次󠄁愼重な硏究を重ねて最後案として社󠄁會に公表したのが昭和十二年十一月󠄁の製造󠄁原價計算準則である。素よりこの準則は何等强制を伴󠄁ふものでなく原價計算の制度導󠄁入に對する一指針である。卽ちその趣旨は飽󠄁く迄敎育的指導󠄁的意味を脫しない。然し乍ら、この準則は原價計算の必要󠄁を我產業界に注入する功績に就ては見逃󠄂し得ない。尙この準則に就て注意すべき點は原價計算制度を以て一經營を利するに止まらず國民經濟的見地よりも、その實施は肝要󠄁なる所󠄁以を序言に於て言及し原價計算が企業的性格のみに捉はれてはならぬことを暗󠄁示して居る。だが原價計算は主として企業的性格に於て定められて居る。

ロ 陸海󠄀軍の原價計算準則

 昭和十二年七月󠄁支那󠄁事變勃發と同時に我產業經濟社󠄁會は戰時體制に編󠄁成替されるに至り更󠄁に事變の長期化󠄁と共に國家總動員體制を整備する要󠄁請󠄁から昭和十三年四月󠄁國家總動員法が制定された。而してこの國家總動員法に基いて昭和十四年十月󠄁十六日(勅令七百七號)に軍需工場事業場檢査令が公布され同月󠄁より實施されることになつた。この檢査令は軍需品調󠄁辨の適󠄁正化󠄁を圖る目的として